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俺を好きになってくれませんか。
明日が休みということで二次会の話しも出たが、家庭のある泰生さんと響子さんが連れ立って帰ると言うとそれじゃここで、と解散の流れになった。
駅までの道を侑司と肩を並べて歩く。
終電までまだ時間があるせいか、若者達やスーツを着たサラリーマン達で駅回りもまだまだ賑やかだ。
駅の中にあるコンビニで機械で入れるコーヒーを2つ買うと侑司は俺を振り返り駅から離れていく。
少し離れるだけで賑わいは微かに聞こえてくるだけになり、途端に緊張が伝わってきた。
すでに閉店した長距離バスの受け付け前にあるベンチに座ると侑司は俺を見上げどうぞ、と横を示した。
座ってからコーヒーを受け取る。
温かいコーヒーが酔いが覚めつつある少し冷えた身体に染みる。
「あの…」
「うん」
「好き、なんです」
ストレートだった。
もっと回りくどい言い回しで来るかなとも思っていた俺はすぐに声を発せなかった。
「振った後遥さんがやりにくくなるかもと思って我慢してたんですけど、目の前で掻っ攫われるのを指を咥えて見ていたくなくて」
思わず笑いが漏れた。
振られることを想定していることや、
言い寄られるままに俺がふらふらと誰かの物になってしまうような言い方に。
侑司が言っているのはここ最近俺にちょっかいを出してきているリサイクルショップの社長のことだ。
うちで登録したスタッフを連れて面接に行く日、担当の泰生さんが体調を崩し急遽俺が侑司も伴い立ち会って行ったのだが、そこの社長にえらく気に入られ、たいした用もないのに電話をしてくる。
若いのにやり手のその社長は隠すこともせず大っぴらに俺を口説いてきている。
俺がハッキリと断っているのを侑司は聞いていたはずだが。
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