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俺を好きになってくれませんか。

誰かと付き合うのは初めてじゃない。 数は多くはないものの、恋愛はしたことがある。 好きだと好意を伝えられたことも、身体の関係も恋人と経験はしている。 恐らく今目の前にいる人間は自分に好意を伝えようとしている。 その緊張が自分にも伝わってきて、掌に汗がじわりと滲んでくる。 喉が渇き、たいして出もしない唾液を飲み込んでみるが何の効果もない。 告白を受けるって、これほどまでに緊張するものだったか。 背が高く、所謂イケメンと評される顔面偏差値で、性格も人懐っこく、入社してすぐにみんなから可愛がられ、仕事も出来る。 酒が入ってもさほど変わらず厚かましくない程度にみんなの世話を焼く。 放っておいても女性から声を掛けられるだろうこの男からの視線を受けるようになったのはいつからだろう。 その視線が会社の先輩に向ける物とは違うと感じ始めたのはいつからだったろう。 自分が他の社員とは構われ方が違うと、それを嬉しく思い出したのはいつからだったんだろう。 恒例となっている会社の飲み会に行く前、ぞろぞろと会社を出て行く同僚達を前に侑司が俺の腕を掴んだ。 「今日、飲み会が終わったら少し時間もらえますか」 顔を寄せ耳を擽るように低い声で囁かれ、慌てて身体を離し見上げた顔は、いつもとは違う男の顔で、 でも来たかと思う自分も居たことに改めてびくついた。 もし本当に告白をされて、俺はどうするんだ。 受け入れるのか。 受け入れた先は? 抱くのか、抱かれるのか。 そんなごちゃごちゃと混乱した頭でいつものように飲み会をやり過ごした。

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