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※俺ともっと触れあってくれませんか。

シャワーをして出てくると侑司が起きていた。 ボサボサの頭を掻きながら欠伸をしている。 大型犬のようなかわいさに頬が緩む。 「おはよ」 「おはようございます」 言った後少し慌てた様子でスエットのズボンのポケットに手を入れ立ち上がる。 「あぁ、まだ勃ってんの?」 「勃っ!?」 「あ、ごめん、お前が寝てる時ちょっと触っちゃった」 「さ、触っ!?」 もうパニックになっている。 からかっているつもりはないが、ついからかいたくなるのも本音だ。 「なぁ、お前が俺にキス以上してこないのって、俺がちゃんと答えを言わないからか?」 「そ、れもありますけど、………大事にしたいんです」 「へぇ」 俺は自分で思っているよりこいつに好かれてるみたいだ。 「手を出してしまったら、もう押さえが効かなくなりそうで、爆発しそうで」 「爆発って」 思わず噴き出す。 同じ男で女性ではない。 多少無理をしたところで、たかが知れてるのに。 でもこうやって大事にしたいと言われて、擽ったいのと同時に、それ以上に嬉しく思っている。 「侑司」 肩を押してもう一度ベッドに座らせ、その前に俺も膝をついた。 「俺も好きだよ、お前のこと」 「遥さん、本当に…?」 「ちゃんとお前と同じ好き、だよ」 「遥さん…!」 泣き出してしまいそうな顔を撫でようと手を伸ばした俺を侑司が掻き抱く。 骨が軋むほど強く抱き締められ呼吸すらままならない。 「侑司、苦しっ」 「すいません、もう少し」 少し弱くなった腕の中で息を吐いた。 宥めるように背中に回した手で侑司の背中を撫でる。 「あの…」 「うん?」 「触っていいですか」 「いいよ」 「いいよってそんな簡単に」 「気持ちよくしてくれなきゃ…あれ?これなんか前にも言った気する」 俺の言葉に侑司が顔をくしゃと崩しながら笑った。 会社ではしないこの笑い方が俺は好きだ。 ボサボサの頭を抱き締めて顔中に髪のチクチクを受けながらキスをした。 「好きだよ…」 「遥さん…俺、泣きそうです」 「ん、わかるよ」 「遥さん、好きです」 涙声の侑司に抱き締められながら言われ、俺も鼻の奥がツンと痛んだ。

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