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俺の心臓は元気ですか。

貰っていた合鍵で鍵を開ける。 「遥さん?」 部屋の主が笑顔で出迎えてくれる。 「ただいま」 「…お帰りなさい」 その言葉と共に広げられた腕の中に収まると柔らかく拘束される。 背中に腕を回して抱き着くと侑司が軽く笑った気配がした。 「月に一度、三人で飯食おうって兄ちゃんが」 「…………………え?」 「お前、俺を諦めますって言いそうになってなかったか?」 「そんなことっ」 肩を捕まれがばりと離される。 縋っていた暖かさが一気に離れ心許なくなった。 「俺は、遥さんが別れるって言ったとしても簡単には諦めません」 「………そこは諦めろよ」 「むしろ俺が責任とってほしいくらいです」 「何の責任?」 また柔らかく抱き締められ、戻った暖かさにさっきよりも強く抱き締め縋った時。 「もう他の人がどうでもいいほどに惚れさせた責任、ですよ」 「俺の責任か?それ」 「気持ちだけじゃなく、身体だけでもなく、全て、それこそ将来まで欲しいと思ったのは遥さんだけです」 「お、まえ、それ、プロポーズみたいだけど」 それはその時までまだとっときます。 侑司は耳元でそう言って、ぎゅうと音がするほど強く抱き締めた。 俺もお前の全てが欲しいよ。 そう言うのは俺もまだとっておこう。 ちゅーを強請るように首筋に鼻を擦りつけると、願った通りに唇が重なった。 「なぁ」 「はい?」 「で、お前いつまで清いお付き合い続けるつもり?」 「え?はっ!?」 「俺もう限界きてんだけど」 「えっ、じゃ、じゃあ、きょ、今日!」 「あ、今日は気分じゃない、ごめん」 がっくりと肩を落とした侑司に下から掬い上げるようにちゅーをした。 焦る気はないけど、焦らせるのはいいよな。 その日がくるまではちゅーで我慢してやるよ。 赤い顔をした侑司にもう一度軽いちゅーをして俺は笑った。

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