42 / 211

俺の心臓は元気ですか。

「月に一度」 兄の言葉にいつのまにか下げていた頭を上げた。 まだ眉を潜めたままだが、声はいつもと変わらないように感じた。 「月に一度、侑司くんも一緒に飯を食おう。お前の将来を思えば今どれほど恨まれても別れさせたほうがいいと思う。だけど、」 泣きそうに顔を歪める兄。 「俺はこれからもずっとお前に兄ちゃんて呼ばれたいんだよ」 一気に鼻の奥から涙がこみ上げ目から溢れた。 「遥、覚えてるか? 高校入ってネクタイになってさ、何回教えても上手く結べなくて。 甘えるのが恥ずかしくなったお前がそっぽ向きながら毎朝結んでってねだったの」 覚えてるよ。 「母さんが買ってきてたキャラクターの下着が嫌で、でも母さんに言えなくて、一緒に買いに行ってって言ってきたの、あれ中学入ったころだったか」 覚えてるよ。 いつもどんな時でも俺が頼るのは兄だった。 「お前の一番ではなくなっても、せめてずっと兄ちゃんでいさせてくれよ、遥」 侑司とは違う、少し雑な撫で方で兄が髪を撫でる。 収まりかけた涙がまた込み上げ、鼻を啜った。 「俺、兄ちゃんも大事だよ」 「知ってるよ、自他共に認めるブラコンだもんな」 俺の涙が完全に止まるまで、頭を撫でる手はやまなかった。

ともだちにシェアしよう!