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俺は無駄でも抗いたいんです。
ベッドにうつ伏せになってぐったりとする俺の肩に侑司が触れる。
「ば、かっ、今触んないでって」
「…ごめんなさい」
肩に一瞬だけ触れた手が髪の中に指を通す。
それだけで深く達した身体は気持ちいいと反応を返す。
「遥さん、可愛い……」
「……なら、お前が可愛くしてんだろ」
「俺が?」
驚いた顔が瞬時に崩れ蕩けるような笑顔に変わる。
「遥さん、好きです、大好き。……愛してます」
「…………っ」
もう、だから、その声……やめてくれよ…
顔中に優しいちゅーが落とされる。
「遥さん…」
「………何」
「またゲームしましょうね」
やだ、と言いかけた口が優しく塞がれる。
「ね?」
「………………………………うん」
ぎゅっと抱き締められた温かい腕の中で諦めにも似たため息をついた。
こいつは俺に弱いけど、
俺もこいつに弱かったんだな、と今更ながらに思った。
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