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◇詩の部屋  部屋に入った途端、玄関のドアに背中を押し付けるように腕に囲い込まれる。 詩「何」 虎治「何、じゃないよ。さっきの、なんなの?」 詩「……お前、鈴木さんのこと、嫌いなのか」 虎治「あぁ、なんだ、聞いたんだ」 詩(先ほど見た虎治は、本当の姿なんだ) 詩「どうして」 虎治「だって。詩にぃ、好きでしょう、ああいう子」  確かに鈴木は可愛い。虎治があそこで邪魔をしなかったら抱きしめていただろう。 詩「まぁ、嫌いじゃない」 虎治「だからだよ。詩にぃは、俺のモノなのにっ」  その言葉に詩は目を瞬かせる。 詩(きっと大好きな兄をとられてしまった弟のような感情だろうな)  可愛いやつだと、口元に笑みを浮かべる。

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