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OpeningShow

「んっ、葉が乳首モロ感なんて、嬉しいなぁ」 「はあっ、や、やあんっ、うっ」 「んちゅ、もうすこし、ねっ。かわいい、ピンクでぷりぷり。んっかわい」  円加の指先がくにくにと俺の乳首を弄り続ける。赤く立ち上がったそこはすっかり性感帯のひとつになって、恥ずかしいことに下半身に直結していた。  声を上げまいと堪えれば逃がしきれない痺れでゆらゆらと腰が揺れる。  甘いキスと言葉で思考はすっかりとろけて、円加から与えられるものを今か今かと待っている。  初めてのキスは緊張して、ちっともスマートなものじゃなかった。歯がかちんと当たって、ムードも何もあったもんじゃなかったのに、嬉しくて恥ずかしくて胸がいっぱいで幸せだった。ぎゅうっと抱き合って、ほんの少しの空気もなくなるくらい体をくっつけ合えば頭の先から足の爪の先までうんと満たされた。  円加の体温と匂いに頭がクラクラする。  告白された時、俺の手を啄んだ円加の唇の感触を思い出して何度も胸を熱くした。  あれからもっとお互いの思いが近づいた。  こんな甘い時間がずっと続けばいいと思っていた。  だけど現実はそうじゃない。男子高校生、それだけで満足出来るはずがない。俺だって、もっと触れたいと思った。  今度はゆっくりと近づいた唇は、音を立てることなく丁寧に重ねられた。そして少し離れては角度を変えて、今度はちゅ、ちゅと啄むように動き出す。どうしていいかわからず固まっていると息継ぎのほんの隙間から円加の舌がねじ込まれる。ちろちろと探るように口の中を舐められるだけでこんなにも気持ちがいいのかと驚いた。優しく、次第に荒々しく口の中を暴れていく。  ぞくぞくと背筋を何かが駆け上がる。まるで生き物のように縦横無尽な動きに翻弄されるしかなかった。歯列をなぞり舌で舌を絡み取られて吸い上げられる。口の中に性感帯があるだなんて知らなかった。上顎を尖った舌でつつつと引っ掻かれる。噛まないように必死になるせいで、呻きにも似た色気のない喘ぎが漏れた。  口の周りは互いの唾液で濡れてつるつると唇を滑らせる。 柔らかい感触と、小さなリップ音。キスだけで上がった息。少しずつ、一緒に大人になるんだとばかり思っていた。  それがどうだ。  初めてキスをしてからまだ小一時間も経っていない。  ベッドの上、日が傾いて暗くなり始めた俺の部屋。  俺を逃がさないように掴んでいた腕が離れて、Tシャツの裾をズボンから引っ張り出した。円加の指先が直接肌を撫でる。小さなストーブひとつが点いた部屋だというのに、うっすらと汗をかいた肌をぺたりぺたりと確認するようにゆっくりと進む。ジャマだとばかりにTシャツは首元までたくし上げられひやりとした外気にさらされた。 「葉、乳首立ってる。かわい」  言い切るのが早いか顔を埋めるのが早いか。円加が胸元に顔を寄せ、尖らせた舌でつんつんと先端をつついた。  カッと顔に血が上る。それだけで、下半身に熱が集まる。 「や、やめっ……んっ」 「やだ、ずっと舐めてみたいって思ってた、んっ」  ついこの前まで親友だったこいつは、なんてことを言っているんだろう。あの時もか……円加の前で服を脱いだことなんて数えきれない程ある。いつからそう思ってたのかなんて怖くて聞けないが、恥ずかしくてどうにかなりそうだった。  つついていた舌先は、乳輪に触れるか触れないかの微妙な距離を維持しながらくすぐるように円を描く。時折かかる熱い息。それだけなのに、少しまた少しと自分も息が上がってしまう。  逃げるようにじりじりと後退するものの狭いベッドの上、背中はすぐ壁についた。とんっと、体が揺れたことでこれ以上逃げられないと気を良くしたのは勿論円加だ。ぷっくりと立ち上がった乳首はとうとう口に含まれた。  優しく舌で転がして柔らかい唇で食まれる。左側だけにじわじわと刺激が与えられる。焦れったくて腰が揺れるのを必死で堪える。  こんなこと……、男の乳首なんてただの飾りだと思っていた。それが今円加の手によって確実に性感帯に変えられていく。漸く動き出した円加の右手は腕をそっと撫で脇腹をくすぐって腹筋の筋をなぞりながら上へと進む。 「ん……っ! ああっ、やっ」 「んっ葉、かわい……こっち陥没してる、ねっ、ちゅ」 「あ、やめっ……言うな、ただの飾りだ、ろ。んっ、あ」  態と音を立てて吸い上げられて、聴覚すらも犯される。 淫らな吐息と水音に、触れてもないのに昂った性器が恥ずかしい。弄る手も舐める舌も、くちづけも熱い。 「あとでちゃんと挨拶しなきゃ、んっ。服、脱いで」  円加も体を離して自分の服へ手をかけている。焦る気持ちと汗で張りついたTシャツが思うように脱げない。  ズボンと下着をまとめて脱ぎ捨て、ベッドの下に落とす。  顔を上げると円加もすっかり裸になっていて、その中心は血管が浮き出るほどガチガチに立ち上がっていた。 「葉も立ってる」 「ったり前だろ、お前に触られてんだから」  恥ずかしくて視線を逸らすものの、満足気な円加の笑い声が余計に羞恥を煽った。 「触って。俺も触るよ」  言われて導かれるままに、円加の性器に手を添えた。  粘液を伸ばすように指を絡ませる。力加減がわからずに、やわやわと扱くと擦りつけるように円加が腰を揺らした。  拙い動きなはずなのに、それだけで円加がごくりと喉を鳴らした。上下したのどぼとけが妙に色っぽく思わず見とれてしまったのは黙っておこう。てっきりそのまま扱き合うものだと思ったら、円加はどこからか紙袋を取り出してひっくり返した。  顔の横に置かれたコンドームの箱。紙袋はくしゃりと床に落ちた。  パッケージを開ける手が興奮で震えているのすら可愛いと思うのに、目だけは雄そのもので体がじわんと熱くなる。  ぶちゅりと音を立てて手のひらに出す。そしてそのまま蓋もせずにシーツの上に転がした。  ボトルに書かれた、アナル用の文字は見なかったことにした。 「冷たかったらごめん」  そう言って足を肩に担ぎ、ローションを尻に塗り付け、くるくると円を描くように縁をなぞる。ふやけたところでひっかくように爪の半分を、痛くなさそうだと判断したのか人さし指をゆっくり差し込み始めた。 「おいっ、いきなり……やあっ、な……んっ」 「葉、もういいからこっち首に手かけて」  そのままじゃ俺が先に出ちゃうと、バツの悪そうな顔で笑う。余裕なんてなさそうな顔して、指は変わらず抜き差しを続けている。お互いの汗と先走りの匂いで、頭の芯が痺れくらくらする。すんっと肺一杯に吸い込むと口の中に唾液が溢れた。  そして、恐ろしいことに俺は少しも痛みを感じなかった。興奮で誤魔化されてるわけでもなく、確実に快感を拾い始めている。ぐちょぐちょと出し入れされる度に腹の上でぽたぽたと我慢しきれず濡れた性器がみっともなく揺れる。 「痛くない? はあっ、かわい……すきだっ、んっ」 「あっ、なんか変、だ……あっ、んっ、んちゅ」  強引に体を折り曲げられてキスが落ちてくる。苦しいのに、唇が寂しかった俺はそんなこと気にも留めず舌を伸ばす。唾液を交換するようにじゅるじゅると舌を絡め合う。  姿勢とあまりの激しさに酸欠状態になっても、興奮材料にしかならなくて頭だけでなく体からも力が抜けていく。 「んっ、いいかな。だいぶやーらかくなった。増やすよ」 「ああぁっ、ん、うっあ! んんっ」  ぐちゅぐちゅと淫らな音が響く。ぎゅっと締め付ければ指の形がわかって恥ずかしい。中で二本の指がばらばらに動き始めて自分のナカが広がろうとするのがわかる。 「あっ、やああぁっ! や、んっ」  どっと汗が噴き出るような大きな快感が全身に走った。触っちゃいけないところだって反射的に体に力が入るのに、それを許さないとばかりに円加の指はそこばかりを狙って指を動かす。 「かわい、葉。ここ? きもち? はっ、ああー、入れたい、ね? いい? いいよね?」 「んんっ、まて。あっ、こわい、きもちよすぎて……わけわかんなっ、んっ……あぁ!」  過ぎる快感に怖いのは本当なのに、俺の意思とは反対に体はもっとと強請るようにきゅうきゅうと締め付ける。

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