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HAPPY SURPRISE

 脚を開放されたと思ったら今度は腰を掴まれた。バスケットボールを鷲掴みにする大きな手のひらが腰を掴んで思い切り下からごちゅんごちゅんと突き上げられた。  S字結腸を攻められ、もっと奥へ入れろと広げられる。ぐぽぐぽと少しずつ押し広げられる。未知の衝撃に逃げようと暴れると腕は体に回されぎゅうっと抱きしめられた。  先端がぐぽんと音を立てて結腸を犯す。痛みにも近い大きな衝撃は腹の中だけでなく全身に広がる。理人は逃げられない快感を受け入れることしか出来ず、涎を垂らしながら喘ぐしかない。 「あ、んぐぅっ、も、だめ。むりだ……っ、あ、あ、おかしくな、る……っ!」 「んっ、俺もそろそろ限界。理人気持ち良すぎ……、う、ん、出るっ」 「あっ、出る、イく、イくっ、あああっ!」  抱きしめたままびゅるびゅると奥に吐き出される。どちらともなくキスをして、今度はちゃんと向かい合ってしたいと意外にも二回目を強請ったのは理人だった。 「はあっ、あ、しゅご、奥当たって、きもち……んっ」 「もっと、えっちな言い方して? せっかく、ほら〝撮ってるんだし〟」  すっかりスマホのことを忘れていた。というより理人の視界から消えたらどうでもよくなったといった方が近い。興奮したのも最初だけで、今は目の前の男から与えられる刺激が一番気持ちがいい。カメラなんてどうでもよかった。  体位を変えて今度は前から抱き合う。  一番キスがしやすく、体が密着する。すっかり理性の飛んだ理人は皐月の腰に足を絡めて自分でも腰を振っていた。 「んっ、さつきっ、すき……あ、きもちい、んんっあ、あ、あっぐりぐりして、そこ、んんっ」 「ん、したげる。理人の望み通りにしようね、すきだよ……っ、んっ」 「もっとお前しか、あぁんっ、見えなくなるくらい、じゅぽじゅぽしてっ!  さ、つきが、俺しか抱けなくなればいいっ! あ、あっ、ふぁ、すきにしていいから、な?」 「理人完全にトんでるね……かわいい、おっきな目も可愛い顔も、えっちな体も全部好きだよ……最高っ」  だらしなくいろんなものを垂れ流しながら喘ぐ理人に、皐月が嬉しそうにキスを落とす。かわいい訳ないのに、皐月はやっぱりバカだ。 「ぁ、ん──っ! あ、な……さつき、んっひぁ、も出して……あついのいっぱい、ほしっ、ああっ!」 「ん、いっぱい出しておなか俺の精子でいっぱいにしてあげるっ、んんっ、はあ……っ!」 「あ、ああ、あ、あぁ  っ!」  ぎゅうぎゅうと絞り上げる動きに、皐月が先に欲を吐き出した。その熱を追うように理人も射精した。腹のナカが自分のものではない何かで熱い。  繋がったまま、皐月がぐったりと俺に体を預けてくる。重い……が、それすら幸せに感じる。はあはあと荒い呼吸がふたつ、重なった胸から吐き出される。  そろそろ限界だと皐月の髪をぐしゃりと混ぜると、わかってくれたらしい。肘を立て体を起こしずるりと繋がりが解かれた。  栓をなくしたそこからはどろりと精液が流れ出る。この感覚はいつまでも慣れない。トイレを失敗した子供のような切なく気持ちの悪い感覚。うぅ、と小さく呻いてシーツで拭おうと手繰り寄せていると、あろうことかベッドから外したスマホが目の前にあった。 「ちょ、ばか……っ! なんてもん撮ってんだ」 「ここまでがハメ撮りの醍醐味でしょ」 「止めろっ……消すぞ、それ」 「うっ……酷い。わかった、もう止める」  ぶうぶうと唇を尖らせたってちっとも可愛くねぇ。しっかりと画面が真っ暗になったのを確認するまで皐月を睨み続けると、少しだけ肩を落としてティッシュが渡された。  適当に後始末をして「あ──っ!」と年寄り臭い声をあげて、いろんなものでべたべたする体のままシーツに二人で寝ころんだ。  じっと天井を見上げていた皐月が姿勢を変え、理人を見つめた。もじもじと向き合うように理人も姿勢を変える。 「理人……すきだよ。俺まだまだ頑張るからさぁ、ずっと一緒にいてね」 「……おう。もし、もしだぞ。海外チームから声がかかるようなことがあれば、ついて行ってやるから、それまではこういうんで我慢しとけ」 「うん……ありがと」 ──それだ。  理人がかわいいと思うのは、理人だけに向けられる情けないくらい眉の下がったぶっさいくな笑顔だった。  半年後、海外移籍の話が持ち上がった。それと同時に動画を消せと迫ったら、まだ正式に決まったわけじゃないからと逃げられた。  それどころか久しぶりに見ようと、ベッドの上で盛大な鑑賞会が開かれることを、理人は知るはずもなかった。

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