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プロローグ的な、何か

 ただいま、と玄関の開く音がする。  俺は、玄関に目を向ける事すらせずぼんやりと煙の上る空を見上げていた。 「また煙草ですか?いい加減、やめましょう?」  ボンヤリしたままの俺の手から、煙草が奪われる。ようやく視線を向ければ、優し気な風貌で、フェロモン男な俺の番、八坂婀都理が煙草を持ってそれを見たまま眉を顰めていた。  そんな様子に、俺はクスクスと笑ってしまう。 「ガキが出来たら、やめてやるよ」 「毎回、欠かさず避妊薬飲んでる人が何を言いますか」  とても不満げな顔をした婀都理。だが、それも一瞬。  寒いので中に入りましょう、と言って俺の腕を掴んだまま部屋の中へ引きずり込む。  部屋の中ではたばこは吸えない。吸いたいが、前に吸った時、発情期でもないのに発情期を疑似的に起こす薬を飲まされて散々な目に合った。だから、部屋の中では吸わない。勘違いしないで欲しいが、別にセックスが嫌いなわけじゃない。むしろ、大好きだ。特に、番とするのは番になる前よりも断然に気持ちがイイ。だが、良すぎるのも何とやらだ。  まだ、二本しか帰ってきてから吸ってないのに、とため息を吐いたが婀都理には取り付く島もない。

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