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エピローグ的な何か
あくる日の朝、セックスまでは自嘲した婀都理は、俺の願いからか、一緒のベッドで眠っていた。
あどけない、婀都理の顔を見て、昨日の自分の失態を思い出して苦笑する。
婀都理を起こさないようにベランダへ出ると、煙草を一本取りだしてジッポで火を付ける。
すぅっと吸い込んだ息に乗って煙が肺を満たしていくのが分かる。
久しぶりのニコチン接種を、ゆっくり味わうように長く息を吐きながら煙を吐き出した。
「あー、うまい……」
煙草を銜えたまま、いつものように空を見上げる。
今日もいい天気だ。
そう思っていれば、横から手が伸びてきて、煙草を掻っ攫われて、抱きしめられる。
まだ、吸い始めたばっかりだというのに、それはむなしくも灰皿で火を消されていた。
「おはようございます、彩里さん」
「あぁ、おはよう」
振り返れば、寝起きで少し不機嫌そうな婀都理の顔が近くにある。
そのまま、勢いでキスをすれば婀都理は、煙草の苦さに顔を歪めた。
そんな婀都理を見て、俺は盛大に笑う。
あぁ、何て良い日なんだろう……。
婀都理が側にいる、それだけで……オメガだからじゃない、幸せだ。
END
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