○⇒場面設定 （）⇒モノローグ ※⇒説明 ○匡のアパート（初夏の平日朝／通勤時間） さびれた電気屋の外観。二階のアパートに初夏の陽が降り注ぐ。 １Ｋのアパート内で、テレビがニュースを読み上げる。 アナウンサー「７月●日未明、民家に何者かが侵入したとして通報が……」 ネクタイを結ぶ匡の手元。 きゅっと締めてテレビをちらっと見る。 アナウンサー「住人によりますと、盗まれた物はなく」 アナウンサー「キッチンを使用した形跡のみ残されていたそうです」 匡（変なニュースだな。しかも隣町か」 アナウンサー「こちらの事件ですが、今月に入って三件目となっ――」 匡、テレビを切って通勤バッグを掴む。 匡（……ま、一人暮らしの男のキッチンに入る変質者なんていないだろ） 部屋を見回して出掛けて行く。