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そして…
「やっぱり…」
東洞は不意にこちらを見上げて…
「どうした?」
「国近さんのオーラは心地いい…綺麗で…温かい…寝ちゃいそうですよ」
「おいおい、妖怪封印して仕事し易くなったんだろ?」
「そうですけど…国近さんが近くにいるとやっぱり集中できないかも…」
ぽそりと呟く…
「え?」
「あ、国近さん…またうちに遊びに来てくださいね!」
「え?なんでだ…?」
「母が話したいって言ってます」
「えぇッ?」
「ウソです、僕が来て欲しいからです」
「な、なぜ?」
「国近さんのオーラに癒されたいから」
「俺はペットか何かか…」
「違いますよ…僕、国近さんが…」
「ん?」
首を傾げたその耳に…
そっと手を添えて…
「好きだからです」
ぽそっと耳打ち…
「な、バカ、大人をからかうんじゃない」
「僕も立派な大人ですけどね」
「全く…」
2人だけの秘密を持ったことで、変わり者の新入社員に懐かれてしまった。
20年も年が離れているから、ハタからみたら親子でも通る歳の差だが…
東洞と過ごすのは不思議と心地いい…
見えないものを見る力を持つ…霊媒体質の東洞が、無茶をしないように見張りながら…
助けてもらった恩を返すため、東洞が困っていたらいつでも助けにいけるよう、許される限りそばにいようと誓うのだった。
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