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《東洞尊》
変わり者の新入社員、東洞尊 と知り合ってから二週間程が過ぎた。
取り憑かれていた事件後も、指導役の担当として教えているが…
前より少しマシになったぐらいで仕事の出来はあまり変わらなかった。
東洞には、見えない何かが常に見えているようで、挙動不審に見える時もあるが…
個性として受け止めつつ、指導担当としては、どうすれば東洞が仕事に集中出来るのかを考えている。
本人もやる気はある分、どうにかしてやりたい思いはあるが、いかんせん見えないものに惑わされていると言われても、俺には見えないから追い払ってやることも出来ないわけで…
かなり難題だ…。
そして今日も終業を迎える。
「東洞、飯いくか?」
資料を片付けながら、東洞を誘ってみる。
用事がなくなったため、前のように毎晩は誘わなくなったが、誘うと断ることはない。
「はい」
今日も笑顔で返事をする。
「お前、何が食べたいんだ?」
東洞は飯についてくる癖に、なぜか食べようとはせず、飲み物を飲みながら俺が食べ終わるのを待つだけなのだ。
好き嫌いが激しいのかと思って、東洞に確認してみるが…
「国近さんの食べたいものでいいですよ」
いつもこの答え…
「いや、でもお前食わないだろ?」
「はい、そこは気にしないでください」
「いや、気になるだろ…お前腹減らないのか?」
自分だけ食べるのは気が引ける。
「減りますよ、けど僕の場合、食べれる物が限られているので…」
苦笑いで答える東洞。
「え、アレルギーとか?」
「まあ、そんなもんです」
「そっか、ならお前の食べれるものは?」
それなら食べれるものを食べに行けばいいか、と尋ねてみるが…
「……、ごめんなさい…僕、基本外では食べないんです」
少し迷うように謝り、そう伝えてくる。
「え?」
「家で清めた物しか食べられないんですよ」
「え、じゃ、なんでついて来るんだ?」
清め?
首を傾げながらも、食べれないならなんで来るのか不思議に思い、聞いてしまう。
「だって、国近さんのそばにいると癒されるから」
そう微笑みながら東洞は答える。
「…また、オーラか?」
ちょくちょく東洞はその言葉を口にする。
俺のオーラに癒される…と。
「はい」
やはり、ニコッと頷く東洞。
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