29 / 300

29

「そういわれてもなぁ、オーラが何かわからないしな…」 見えないもの…オーラに癒されるといわれても…よく分からない。 「オーラは他にも呼び方もあるんですけど、身体の周りを覆っている煙のようなものです」 「けむり?」 「うーん、ちょっと表現するのは難しいんですが…普通の人には見えないみたいですけど…僕には人を覆うようにオーラが見えて、その人の性質によって、いろんな色やカタチに見えるんです」 手振りを交えて教えてくれる。 「そうなのか…」 まだ、やや理解に至れなくて首を傾げると… 「ちょっと腕を出してみてください」 東洞は不意に促してくる。 「こうか?」 服の袖をまくり腕を差し出してみる。 「はい、触れずに僕のオーラで国近さんの腕を撫でてみますね」 そういうと、俺の腕に右手をかざし、すっと撫でるように宙で動かす。 「え?…あ、」 「分かりますか?」 「あぁ…なんか、温かいものにふわっと触れられた感じがした」 触れられてはいない筈だが、温かいものが掠めた感じがする。     

ともだちにシェアしよう!