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「オーラが濃密な人ほど他の人にあたえる影響力が強くなるんですよ、国近さんのオーラはとても綺麗なので近くにいるだけで癒されて凄く心地いいんです、霊媒体質の僕みたいなのはオーラも入り易くて影響受けやすいので…」
「そうなのか…」
「国近さんが取り憑かれてた時も、あんな凄いのに憑かれてるのにオーラだけは凄く綺麗で…かなり不思議でした」
「不思議?」
何が?と、首を傾げ聞き返す。
「普通、憑かれたりするとオーラも全体的に澱んだりするんですが、国近さんは妖怪に影響されていなかったので…びっくりしました」
「そ、そうなのか…それはいいことなのか?」
さらに首を傾げながら聞いてしまう。
「はい、芯が強くて心が綺麗な現れですから、ステキです」
「いや、そんなことはないだろ、俺なんか、どこにでもいる普通のヤツだし…」
特別だと言われても実感はない…首を振りながら否定するが…
「でも、僕は…今まで生きてきて、色々な人を見てきましたが、こんな綺麗なオーラを持つ方に出逢ったのは初めてですよ」
「そうなのか…」
「誇りに思ってくださいね」
「いや、見えないものを誇りに思えないし、俺は俺だからな、俺が感じたまま生きるだけだ、お前のことも別段、特別扱いはしてないしな…」
「はい、それでこそ国近さんですね」
そう微笑む東洞。
「じゃ、どうしようか…弁当でも買ってお前の家で食うかな…店で俺だけ食ってもあれだし…」
「え、うちに来てくれるんですか!」
驚きと喜びを同時にしたような表情で聞き返して来る。
「そうしないとお前は食えないんだろ?」
「はい…」
こくんと頷く…
「じゃ行くしかないだろ」
「はい、うれしいです」
素直に喜ぶ姿を見て、なんとなく悪い気はしないが…
「こらこら、飯食いながらお前の仕事効率を上げるにはどうしたらいいか話し合う為に行くんだからな…」
指導役としてきちんと釘を刺す。
「はーい、すみません…」
謝るものの、やはり嬉しそうにしている。
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