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そうして俺は飯を調達して、再び東洞家の門をくぐる。
大昔から霊媒師を生業にしていた東洞家。
いつ来ても威圧的な日本家屋で大武鉉者だ。
「どうぞ」
以前と同じルートで招き入れる東洞。
お祓いに使用した広間を通り抜ける。
取り憑かれていた際にはかなり息苦しい場所だったが、今は何も感じない。
よく見ると壁や天井にお札のようなものが色々掲げてある。
「立派な家だな」
「そうですか?もう築100年以上なのでそろそろ壊れるかも…」
「そんなに経っているのか、そうは見えないな」
「所々改築してますしね」
「なるほどな」
何気に会話しながら廊下を歩き…
「どうぞ、座ってください…お水でいいですか?」
キッチンの近くにあるダイニングテーブルに勧められ、座って自分の弁当を出して待つ。
東洞は水を出してくれた。
「あぁ、ありがとう」
すると東洞は冷蔵庫から豆腐、漬物を取りだす。
そして冷凍庫から冷凍ごはんと、煮物のようなおかずを出してくる。
冷凍ものは、電子レンジで温め、ダイニングテーブルに並べる。
「お前、これだけ?」
「はい」
「野菜ばっかりだな…しかも冷凍…」
「基本、魂の宿る生物…肉類とかはダメなので…だいたい毎日こんな感じです、だからあんまり食欲もわかなくて…」
そう苦笑いする東洞。
「なるほどな、お前がひょろい理由がわかったよ」
「ひょろい?」
「ちょっと味見していいか?」
「はい、」
「…確かに、これじゃ食欲なくなるわな…お前が作ったのか?」
ひとつつまんで食べてみる。
見た目もだが味もイマイチ…
「いえ、作って持って来てくださる方がいるので…」
「そうなのか…その人には悪いが…、やってみるか、そこの台所のものは清めてあるのか?」
「え、はい」
「ここにあるもので俺が作り直しても大丈夫か?」
「えっ?」
「どうなんだ?」
「大丈夫です…けどいいんですか?」
「あぁ、そんな味気ないものが夕食じゃ元気はでないだろ、俺の料理の方がいくらかマシになる」
「ありがとうございます」
「少し待ってろよ」
台所にある調味料や、あまり内容の入っていない冷蔵庫内を吟味して、今作れるメニューを瞬時に考え作り始める。
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