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第119話
『はい、柚木です、尊寝てるんでちょっと待ってくださいねー』
軽く嘘の返答する柚木。
『早く開けろ!違う場所に尊を連れて行く時は連絡しろって言ってるだろ』
優志はのらりくらりかわす柚木にイラつきながら急かす。
『すいません、遊びに夢中だとわすれちゃって』
『お前ら何して遊んでんだ!』
『え?普通に菓子食って、TVゲームとかっすよ、ちょっと起こしてくるんで待っててくださいね』
『ちょ、まず開けろ!』
それを無視してインターフォンを切る柚木。
『あー、うぜえ…』
イライラしながら吐き捨てて、尊たちがいる寝室へ向かう。
『おい、』
部屋を覗くと、ロープで縛り上げ、あちこち洗濯バサミなどで挟んで痛みを与えて尊を泣かしている最中…
『ッ、柚木くんッ…助け、て…怖いよ…』
柚木の姿を見た尊は、恐怖心から柚木に助けを求める。
『あー、何だよ、まだ時間じゃないだろ?』
虐めていた男子学生が不満そうにつっかかるが…
『今日は奴が来たから、ここまでた』
『はっ?金払ってんのにふざけんなよ、まだこれからなんだよ!』
『わかってる、次埋め合わせはするから、時間サービスで、こいつの保護者が迎えに来たんだ…奴に知られたら終わりだ』
『…チッ、次は今日の分、倍時間もらうからな』
『あぁ、それでいい』
そう勝手に取引する柚木。
『尊…』
尊に近づいて、縄を解いてやり、痛みを与えているものも取ってやる。
『柚木くん…あの人たち…痛いことする』
必死に訴えるが…
『…ほら、もう大丈夫だ、服着て顔洗って…』
そっと抱きしめながら、頭を撫でて泣いている尊を落ち着かせながら、部屋を出てそう促す。
『うん…っ』
柚木の言うことは何でも聞く尊。
『いいか、お友達にされたこと、優志に絶対言うなよ、言ったらもう俺たちは会えなくなるんだからな』
そう念を押す…
『うん、絶対言わない』
『いい子だ』
また、頭を撫でて褒めてやる。
何も知らず嬉しそうにする尊。
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