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第120話

『はーい、お待たせしました、優志さん』 そうして、尊を連れて明るく出迎える。 『柚木お前な…』 『はい、すみません!尊またな!』 問い詰められる前に、早々に切り上げようとする柚木。 『どうした?お前、泣いてたのか?』 泣いた後のような尊を見て、頭を撫でて優しく聞く優志。 『う…』 頷こうとする尊に被せるように柚木が答える。 『いやいや、寝起きでこすって目が赤いんだよな』 『…うん』 そう促され、尊も頷く。 『ほら帰れ、また遊ぼうな!』 追及されないよう促す柚木。 『柚木くん…消毒、まだしてもらってない』 不意に柚木へねだるようにいう尊。 『消毒?』 優志は何のことかわからない… 『こら、』 たしなめるように小声で叱る柚木… 『…?』 怖い目にあったらいつもしてくれる習慣…なんで駄目なのか首を傾げる尊。 『柚木、消毒ってなんだ?』 当然、怪しむ優志。 『なんでもないっすよ、さ…早く帰った方が…』 『尊、消毒…俺にできるか?』 『…うん』 言われて、何気に優志へ口付けして、尊は、すっと口からオーラを吸い込む。 『……!』 『…優志さん?』 驚く優志を見て首を傾げる。 『柚木、お前…尊に何をさせてんだ!』 尊の行動に驚き、柚木に問い詰める。 『いや、別に単なるコミュニケーションですよ、深い意味はないんです、尊には言葉より伝わりやすいでしょ』 ヘラッと笑いながら悪ぶれず話す柚木。 『お前ッ、二度とするな!尊が穢れる!!』 怒鳴ったあと、尊の腕を引き連れて帰る。 『あ、ちょっと…』 『尊もしばらく柚木について行くな!』 『優志さん?待って…』 急に怒る優志の様子を理解することが出来ない尊。

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