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第122話
その後も度々柚木は尊を連れ出しては、様々な家を点々としていた。
柚木を問い詰めても、友達の家に遊びに行ってるだけ、連絡わすれてた、とかわすばかり…
尊について行かないように言っても、柚木の言葉に惑わされてついて行ってしまうから…なんの抑止にもならない…
そんなある日、久々に霊媒師の仕事で遠出した際、帰りの車内で…
尊はすやすや疲れて眠っていた。
不意にうなされ始める尊…
最初、霊障でうなされているのかと思ったが…
『ぅ…うぅ、嫌…』
『……尊?』
『ぅ…柚木くん、助けて…、イヤ、やめて…』
『…!?』
『…ッうぅ…いたい、イヤだ…』
『おいッ!尊ッおい!』
『ッ!!』
声をかけ、身体を揺さぶり起こすと…
尊はビクッと身体を震わせ…
『ハァ…ハァ、ふっ…』
息遣い荒く、ポロポロと涙を流しだす。
『尊、どうした?大丈夫か?』
『うん…大丈夫…、ここは安全…、大丈夫』
キョロキョロと周りを見て…
ポツリポツリと繰り返す…
『尊…』
柚木に助けを求めた?
安全?柚木のところは安全じゃないのか?
尋常じゃないうなされ方…
もう聞かずにはいられない、柚木が何か、尊を苦しめているに違いない…
優志はそう確信して、尊に問いただす。
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