122 / 300

第122話

その後も度々柚木は尊を連れ出しては、様々な家を点々としていた。 柚木を問い詰めても、友達の家に遊びに行ってるだけ、連絡わすれてた、とかわすばかり… 尊について行かないように言っても、柚木の言葉に惑わされてついて行ってしまうから…なんの抑止にもならない… そんなある日、久々に霊媒師の仕事で遠出した際、帰りの車内で… 尊はすやすや疲れて眠っていた。 不意にうなされ始める尊… 最初、霊障でうなされているのかと思ったが… 『ぅ…うぅ、嫌…』 『……尊?』 『ぅ…柚木くん、助けて…、イヤ、やめて…』 『…!?』 『…ッうぅ…いたい、イヤだ…』 『おいッ!尊ッおい!』 『ッ!!』 声をかけ、身体を揺さぶり起こすと… 尊はビクッと身体を震わせ… 『ハァ…ハァ、ふっ…』 息遣い荒く、ポロポロと涙を流しだす。 『尊、どうした?大丈夫か?』 『うん…大丈夫…、ここは安全…、大丈夫』 キョロキョロと周りを見て… ポツリポツリと繰り返す… 『尊…』 柚木に助けを求めた? 安全?柚木のところは安全じゃないのか? 尋常じゃないうなされ方… もう聞かずにはいられない、柚木が何か、尊を苦しめているに違いない… 優志はそう確信して、尊に問いただす。     

ともだちにシェアしよう!