10 / 30

08

   カンゾウ、縁側にとまる。 カンゾウ「相変わらずあの人間の面倒を  みてやってるのカー!」 雪弌「(ひと睨み)煩いのが来た」    カンゾウ、構わず続ける。 カンゾウ「あんな大昔の契約なんてとっくに  無効ですカラー!」 雪弌「黙れ! おしゃべりカラスめ!」    雪弌、背中を丸めフーッ!と威嚇する。 カンゾウ「オレは保食命(ウケモチノカミ)様 にお前を見守るように言われてるカラー!」 雪弌「ウケ様には感謝している。私は人間を騙 すのが楽しいだけで、他意は無い」    翼をバサッと拡げ、 カンゾウ「本当カー⁉」 ――シャキーン!    爪を立ててみせる雪弌。 雪弌「そういえば腹が減ったな」    カンゾウ、ビクつき、 カンゾウ「オレは食っても美味くないカラー!  血の契約のためとはいえ人間に心を奪われる  のもダメですカラー!」    と慌てて飛び立つ。    雪弌、空を睨む。 雪弌「フン、放っておけばよいものを」

ともだちにシェアしよう!