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〇岸田医院・診察室
洸龍が肩にかかった聴診器を外す。
ふ~っと一息。
〇自宅・縁側
光太郎がタブレットを使って姿勢よく
絵本を読んでいる。
洸龍、入る。
洸龍「雪弌は?」
光太郎「お外に見回りに行くって」
洸龍「(ボソッと)ふぅん、見回りねぇ」
カラスのカンゾウ、入る。
カンゾウ「おお、これは正統な継承者様では
あり ませんカー!」
驚くどころか目を輝かせて、
光太郎「カラスがしゃべった!」
むしろ驚いているのは光太郎の方だ。
洸龍「お前……このカラスが何言ってるのか
わかるのか?」
光太郎「(屈託なく)うん!」
洸龍、焦燥とも畏怖ともつかぬ顔。
洸龍M「オレには所々しか聞こえない」
カンゾウ、卑しい目つきになる。
カンゾウ「そうでしょうとも! そこな男は
後継者を語ってもショセンはニセモノです
カラー! まったく、岸田の家を語る
ニセモノのクセに、この医院を乗っ取ろう
ナドー!」
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