15 / 30
13
〇同・庭(夜)
蝦夷菊や白粉花など夏の終わりを告げる
植物が風に吹かれ、小さく揺れている。
鈴虫も鳴いている。
〇同・居間(夜)
八畳の純和風な居間。
箪笥の上には祖母の写真。
柱にかかった時計は七時を指している。
雪弌にすっかりなついている光太郎。
× × ×
居間からキッチンが見える。
洸龍が晩御飯の支度をしている。
× × ×
卓袱台に子供が好みそうな夕餉が並ぶ。
それを囲む洸龍、正太郎、雪弌の三人。
洸龍「ほら、できたぞ。ったく、家の人たちに
黙って出て来るなんて」
光太郎「だって……」
光太郎、しょんぼりと俯く。
急須の緑茶を注ぎながら、
雪弌「説教は後でもいいだろう。
飯が不味くなる」
洸龍「お前、光太郎に甘すぎないか?」
雪弌が肩を竦める。
雪弌「お前こそ、厳しすぎる」
黙っている洸龍。
雪弌「それとも子供に嫉妬しているのか?」
光太郎が洸龍をきょとんと見上げる。
光太郎「しっとってなあに?」
雪弌はクスリと笑う。
雪弌「ヤキモチのことさ」
洸龍の歯切れが悪い。
洸龍「うるせぇ、だまって食え」
ともだちにシェアしよう!