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洸龍は瞼を閉じる。投げ遣りに、
洸龍「オレとお前は本当の兄弟じゃない」
× × ×
光太郎は怯えて首を振る。
× × ×
洸龍はあくまで冷静に続ける。
洸龍「オレはな、お前の父さんと母さんとも
血が繋がってない」
光太郎の瞳に涙が溜まっていく。
それを察して、
雪弌「おい、洸龍」
洸龍「(鋭く)お前は黙ってろ」
洸龍も庭に降り、二人の元へ。
〇同・庭先
洸龍が腰を屈ませ、光太郎と目線を合わ
せる。
洸龍「この医院で生まれた。そんで、オレは
産みの母親に捨てられちまったのさ。
そんで、お前の父さんと母さんに預けられた」
光太郎、首を振る。
涙が溢れる光太郎。
光太郎「やだ、やだよ……」
雪弌、腰をかがめ光太郎を抱き寄せる。
雪弌「もっと他に言い方があるだろう」
洸龍「本当のことだ」
洸龍、立ち上がり、去る。
光太郎は泣きながらも洸龍を追う。
光太郎「どこ行くの?」
雪弌「大丈夫、午後の診察の時間だ。終われば
戻ってくるさ」
雪弌が光太郎を引き留める。
雪弌も不安を隠せない。
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