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後編
はい、どーも。つい昨日童貞よりも先に処女を捨ててしまった、鈴木雪兎です。
何事もなかったかのように頑張って無表情で授業を受けているけど、少しでも気を緩めてしまったら泣いてしまいそうな程に、実は心身ともに傷付いています。
「(……記憶を抹消したい)」
俺に過去をやり直す能力があれば、何があってもあの教室には近づかないようにしたし、宮島虎徹と一切の関わりを持たないように気を付けたけれど、そんなファンタジーのようなことは無理だと分かっている。
だからせめて昨日の記憶を全て消し去って、何事もなかったように日々を過ごして行きたい。更に欲を言えば、そのまま抹消したまま一生を終えて墓に入りたい。
「(…っ、だって……、)」
「(だって、あんな強請るような真似……ッ!)」
気持ち良すぎて途中から記憶が曖昧だけど、自分から腰を動かしたり、彼に抱き着いたり、キスを強請ったりしたような気がする……。俺なんかが甘えても気持ち悪いだけのはずなのに、彼は嫌な顔を一つせず、むしろ嬉しそうに全部応えてくれた。
__________
『んっ、ひぁうッ!あん、んんっ』
『……っ、は』
『…あっ、あんっ…そこ、きもち…っ!』
『……はぁ、っ……兎、』
『ンっ、んんッ、ソコ……もっと、おねが…っ、ひゃぁう!』
『……好きなだけ与えてやるよ。おらっ』
『んん、ンっ、んっ、ーッ!!』
『……くそっ、お前エロ過ぎだろ』
『…っ、ふぁ……ちゅーされながら、ッん、突かれるの好きぃ…』
『…………あー、クソ可愛い…っ』
__________
「……ーッ!」
あの濃厚な出来事を思い出してしまい……思わずブルリと身体が震えてしまった。
__ダメだ。昨日のことは一刻も早く忘れないと…。
そう思って必死に正気を保とうと頑張るけれど、……俺の身体は自分が思っていた以上に、彼によって馬鹿にされてしまったようだ。
「………はぁ、ふ……」
授業中だというのに、彼を受け入れていた箇所が疼き、自身がゆるりと勃ち上がり……、
「(………やば…)」
……パンツの中で少量の液が漏れた。
温かくてヌルっとした感触のせいで、余計に身体が昂ぶる。
「……っ、ん」
____こんなこと誰かにバレたら……
「…………おい」
「……ひ、ぅっ!?」
そう危惧していた矢先に、斜め後ろの席のクラスメイトに肩を叩かれ、授業中だというのに変な声が出てしまった。教壇に立っている教師だけではなく、授業を受けていたクラスメイト全員の視線が一斉に俺に集まる。
「………ぁ……ぅ」
一人も友達が居らず、いじめられている俺が、人前でこんなにも大きな声(変な声)を出したのは初めてで、一気に顔が熱くなる。
………しかも、現在自分は淫らな内容で頭をいっぱいにしていた最中だ。そんな中、こんなにも大勢の人から見られてしまい、二重に嫌な思いが募る。
「……、なんつー声出してやがんだ」
「す、すみません」
「ったく。先生、すみません。何でもないっす。授業続けてください」
俺に声を掛けてきた斜め後ろの席のクラスメイトは、教師にそう声を掛けた。そのお蔭で俺に集まっていた視線はすぐに逸らされ、何事もなかったかのように授業が再開された。
「ご、ごめん…なさい」
「世話掛けんじゃねえよ」
「……だって、急に声を掛けてきたから……、」
「あ゛?」
「な、なんでもないです…」
口が悪いこの男……、ハッキリ言ってしまえば、イジメの主犯格だ。
そんな彼に迷惑を掛けてしまい、後々のことを考えると複雑な気持ちになる。俺は授業の邪魔にならないように、もう一度小声で謝っておいた。
……しかし、彼の追い打ちは止まらない。
「つーか、何をモジモジしてたんだよ」
「……っ、え!?」
「便所我慢してんのか?」
「………ち、ちがっ」
「ハッ。もしかして恥ずかしくて教師に言い出せなかったのかよ」
「………っ…」
……一体、彼はどこから俺の様子を、
………痴態を見ていたのだろう。
「ふん。優しい俺様が代わりに言ってやってやろうか?」
「…………」
「まあ、タダでは引き受けてやらねえけどな」
「…………」
……あの男に強く抱き締められ、…キスをされ、…奥の奥を突かれ、…揺さぶられて、散々種付けされたことを思い出して悦に浸っていたところを見られたのか……?
「お前がどうしてもって言うのなら、後で地面に額を付けて可愛く懇願するのを条件に引き受けてやってもいいぜ」
「…………」
「おら、どうすんだよ。こっちを見やがれ」
絶対に今の自分の表情を見せてはいけないと分かっているのに、散々彼に虐げられて従順になるように刷り込まれていた俺は、彼の言葉に逆らうことなどせず、そのまま振り向いてしまった。
「………!」
「…………」
「……っ、お前…なんつー面してやがんだ……」
「、っ」
……案の定彼にソレを指摘をされてしまった。
あらゆるものが限界に達した俺は、授業中だというにも関わらず、そのまま勢い良く立ち上がり教室から飛び出したのだった……
「ハァ…、ハァ……はぁー」
_____最悪だ
許可もなく授業の途中で教室を飛び出してしまったことも。
先生やクラスの皆に迷惑を掛けてしまったことも。
アイツにあの時の様子をマジマジと見られてしまったことも。
「…っ、くそ……」
……それなのに、まだ身体の熱が冷めないことも……
「ん、んん……はっふ…」
……歩くことさえ辛い。
授業中にも関わらず、廊下で顔を真っ赤にして息も乱して、下腹部を膨らませている俺の姿は間違いなく異常だろう。
「……はー、やだなぁ…」
今日はもう教室には戻れそうにない。
それどころか、暫くはクラスに顔を出す勇気さえない。
今日はこのまま帰ってしまおう。どうせ俺なんかが一日や一週間学校に来なくても誰も気にしないはずだ。
「……うぅ」
……だけど。それでも、あの時の俺を見る皆の…アイツの視線が忘れられない。
元々最悪の評価だったはずなのに、更にクラスメイトは俺に不信感を抱いただろう。
だからこそ、後々のことを考えると吐き気さえしてくる。
「(……なんで俺がこんな辛い思いをしなくちゃいけないんだ)」
__怖い__苦しい__不安だ
こんなにも憂鬱で苦痛だというにも関わらず、未だ異常なほどに敏感になっている自分の身体に嫌気が差して、俺はそのまま廊下にしゃがみ込んだ。
「………これも全部アイツの、宮島虎徹のせいだ……」
「俺がなんだって?」
「……っ、!?」
独り言のはずだった言葉を拾われ、俺は俯いていた顔をバッと上げる。
「………ぁ…」
見上げた先に居たのは、今一番会いたくなかった人物で。それでも、どこか心の奥底で酷く求めていた人物だった。
「……宮島、虎徹……」
「やっと見つけた」
名前だけを知っていても意外と見つからねえもんだな、と呑気に語る宮島さん。
「…………」
なぜ彼が俺を捜していたのかは分からないが、これ以上彼の近くに居てはいけないことは分かる。
___そうだ。
俺は昨日コイツに無理矢理犯されたんだ。あんなに嫌だと、止めろと泣き喚いても行為はやめてもらえず文字通り滅茶苦茶にされた。
「(……逃げないと…っ)」
このまま彼の傍に居ても碌なことにはならない。今すぐ立ち上がって無様に走って逃げるのが得策だ。
「っ、は……ぁ…ふッぅ」
……“逃げなくては”、そう頭では分かっているのに……、
「はァ、はァ、っッ…く」
昨日嫌だと泣くほどに無理矢理与えられた彼の匂いが、体温が…快感が忘れられず、立ち上がるどころか、俺はそのまま廊下にへたり込んだ。
「おい、どうした?大丈夫か?」
「……っ、ふ……、触るな…っ」
誰のせいでこんな状態になっていると思っているんだ。まるで髪を梳くように触れられた彼の手を払いのけて、俺は目の前に居る男を睨み上げた。
「…………っ、お前……、」
「………?」
そうすれば、宮島さんはそのことについて怒るよりも、目を見開いて……、そして息を呑んだ。
「な、なんだよ?」
「……なんて顔しやがるんだ」
同じようなことを先程も言われた気がする……
「は?なに言って……、」
「兎、お前今自分がどんな表情をしているのか分かっているのか?」
「……そ、んなの分かるわけ……」
「盛りのついたメス猫のような表情をしてるぞ」
「なっ!?……な、なに、言って…っ」
『そんな顔していない!』と大声で否定したいのだが、今の自分がどれほど発情しきっているのかは嫌というほど分かっているので、それ以上上手く反論の言葉を紡ぐことができなかった。
「ふっ」
「な、なに笑ってるんだよ…っ」
「いや、お前は猫ではなく、兎だったなと思ってな」
「……っぅ、」
……例え彼が男好きのレイプ魔だとしても、やはりイケメンというのは色々な意味でズルい存在だ。
穏やかに微笑んでみせた彼に、思わずドキッとしてしまった。
「……わっ!?」
だが次の瞬間には、違う意味でドキッとしてしまった。
……なぜならば、腰の抜けた身体を抱き上げられたからだ。
『おろせ!』と、抵抗をする暇なんてなかった。
……というより、そんな隙すら与えられなかったという方が正しいのかもしれない。
「っ、んんッ!?」
「……は、っ」
近くの男子トイレに運び込まれ、そのまま一緒に個室トイレに入れられた。
ご丁寧に鍵まで閉められて、蓋の閉められた便器に座らされて……、
「は、っふ…、ンんっ!」
……そして、現在進行形でキスをされている。
「んっ、んっ、んっ、ん、ふぁッ」
「…っは、兎……、」
「……ん、んーっ、んぅ」
こんなこと早く止めて欲しいのに、彼を制止する術が分からない。
何度も唇を甘噛みされて吸われる。大きな口でチュッ、チュッと口付けられる度に、このまま食べられてしまうのではないかと錯覚してしまう。
「ゃっ、やめ……ッ、んんっ」
……怖い。苦しい。気持ち良い。
口の中を熱い舌で掻き混ぜられると、なんともいえない感情が頭の中をグルグルと駆け回る。口内を掻き混ぜられるのと同時に、脳も掻き混ぜられているようだ。
……文字通り、思考が蕩けてしまう。
「は、ふ…っ、んく…はぁッ」
気を抜いてしまえば彼との口付けだけで意識が落ちてしまいそうで怖くて、俺はなんとか意識を保とうと、彼の背中に腕を回してシャツを強く掴んだ。
「…………、」
「……ん、ふぁっ」
そうすれば、なぜか宮島さんの動きが止まった。
それは俺からしてみれば、とても喜ばしいことなのに、快感に飢えた俺の脳内は『物足りない』と感じ取ってしまう。
彼の息遣いが、体温が、匂いが、
……恋しくて堪らない。
「ぁっ…やめ……、ゃめないで……」
……そうだ。
俺は彼が、宮島さんの全てが恋しかったんだ。
昨日彼に与えられたのは痛みと苦しみだけではない。宮島さんは唯一、今まで友達さえも碌に居なかった俺に、温もりと快楽を教えてくれたんだ。
「……もっと、触って……」
それを自分で理解して、開き直ってしまえば、言葉にするのは簡単だった。
「………だめ?」
貪欲な俺は、彼の大きな手を掴んで、そのまま自分の身体にあてがった。
「っ、クソッ…可愛過ぎるだろうが……っ」
「……あっん、ふぁっ」
「嫌だって泣かれようが、止めてやらねえからな」
「……ぁっ、ん……っ」
泣くわけがない。
……だってそれはどうしようもないほどに、ただのご褒美じゃないか。
_____________
「んっ、っん、ンっ!ふぁっ!」
「……く、は…っ」
「あ…あぁ……んッ、きもちぃ……っ」
授業中から彼を求めてドロドロだった下半身は、今では彼自身を受け入れて、言葉では表せないくらいにグチャグチャになっている。俺の精液と、彼の先走り汁が入り混じっていて、なんともエロい。
「ん…んっ、はぁッん!あんっ!」
身体を揺さぶられる度に、ぐちゅぐちゅ、ぱちゅぱちゅ、煩い。だけど、そんな卑猥な音すらも今は興奮材料の一つでしかない。
きっと今誰かが男子トイレに足を踏み入れようならば、ものの一秒でセックスしていることがバレるだろう。…いや、足を踏み入れられる前に、廊下に居る時点で気付かれてしまうかもしれない。
「ぁっ、ぁっ、ぁっ、あぁぅっ!」
今が授業中でよかった。そんなことを思いながら、俺は快感を与えれるまま喘いだ。
腰を動かされて抜き挿しされる度に、雁首で腸壁がゴリゴリ擦られて堪らなく気持ちが良い。
喉元を反らして喘げば、そこを舐められた上に甘噛みされた。
「んんっ!ん、ンん…、ーッ!!」
「……はっ、兎……、」
「んッ、んんっ!っぁ…はァふっ」
気持ち良過ぎて身体に力が入ってしまうと、宮島さんが深く熱い息を吐いた。
そんな雄臭い喘ぎ声と、熱い息を直接耳元で吹き掛けられると、身体が疼いて仕方がない。………つまり、それは卑怯だ。
「…ん、ひぁっ……もっと…」
だけどそれは、彼も俺で感じてくれている証拠だということが分かって素直に嬉しい。
彼の温もりがもっと欲しくて、俺は隙間などなくなるように更に強く抱きついて……、
「………っ、兎、」
「もっと、宮島さんの全てを……んっ、ちょうだい…」
……そして、自分からキスを仕掛けた。これくらい許されるはずだ。
「っ、あー、クソ小悪魔め…っ」
「ん…んんっ、ふぁ、あんっ」
だって、ほら。
………兎は寂しがり屋って言うだろ?
END
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