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突然の来訪者《4》
「ば、バルトさん、私は…」
「言っただろ?必ず、ルノアを嫁にすると」
言った。
確かに、バルトさんはそう言っていたけれど…。
あの恐ろしいベリアル様に睨まれて、それでもそのベリアル様のお城に乗り込んで来るなんて、バルトさんは何て勇気があるんだろうか。
自分には到底無理だ。
だからこそ、バルトさんがまさか実行しようとするとは思っていなかったし、もう諦めてくれたと思っていた。
魔界の王子様であるバルトさんが、何故私みたいな下級天使なんかを見初めて下さったのかは分からないけれど、とても気に入ってくれているという事は伝わっている。
でも、その気持ちには応えられないからこそ、申し訳なく思ってしまう。
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