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突然の来訪者《5》
「ルノア、好きだ」
「ば、バルトさん…」
熱っぽく囁くバルトさんの真剣な瞳に、吸い込まれてしまいそうだと思う。
こんなに格好いいのだから、きっとバルトさんのお嫁さんになりたい方は沢山いるのだろう。
だけれど、私にとって、ベリアル様以上に恋い焦がれる人は、今も、この先も、きっと現れはしない。
だから、バルトさんの気持ちにはお応えする事ができない。
勇気を出してバルトさんに思いを伝えようと口を開く。
「バルトさん、わ、私…」
「お前が妃になってくれれば、何不自由ない暮らしを約束する!聞けば、ベリアルの奴、お前に掃除洗濯、果ては野良仕事までさせ、扱き使っているそうじゃないか!?」
「あの、いえ、それは私が無理にお願いして…」
「俺は、絶対にお前に苦労は掛けないっ!!」
「ち、違っ…」
バルトさんの誤解を解こうと慌てるが、バルトさんには全く伝わらず焦る。
このままでは、どんどん勝手に話が進んでいきそうで、泣きたくなった。
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