22 / 44

突然の来訪者《5》

「ルノア、好きだ」 「ば、バルトさん…」 熱っぽく囁くバルトさんの真剣な瞳に、吸い込まれてしまいそうだと思う。 こんなに格好いいのだから、きっとバルトさんのお嫁さんになりたい方は沢山いるのだろう。 だけれど、私にとって、ベリアル様以上に恋い焦がれる人は、今も、この先も、きっと現れはしない。 だから、バルトさんの気持ちにはお応えする事ができない。 勇気を出してバルトさんに思いを伝えようと口を開く。 「バルトさん、わ、私…」 「お前が妃になってくれれば、何不自由ない暮らしを約束する!聞けば、ベリアルの奴、お前に掃除洗濯、果ては野良仕事までさせ、扱き使っているそうじゃないか!?」 「あの、いえ、それは私が無理にお願いして…」 「俺は、絶対にお前に苦労は掛けないっ!!」 「ち、違っ…」 バルトさんの誤解を解こうと慌てるが、バルトさんには全く伝わらず焦る。 このままでは、どんどん勝手に話が進んでいきそうで、泣きたくなった。

ともだちにシェアしよう!