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ベリアルの過去《5》

「この話は魔界でも限られた上級悪魔と熾天使共しか知らぬ話だ」 「………えっ!?」 「ははは、一介の見習い天使だったお前が大した出世だな」 ベルゼブブ様の言葉に、大変なお話を聞いてしまったのだと、私は、この時初めて気づいた。 ◇◇◇ ベリアル様の事は何でも知りたいと確かに思ったけれど、まさかこんな大それた話を聞く事になるなんて…。 私は、失いそうになる意識をなんとか引き戻し、よろよろと廊下を歩く。 けれど、ベリアル様の事なら、何でも知りたい。 ベリアル様は、御自身の事をあまりお話しては下さらない。 まだベリアル様と想いが通じる前に、一度ベリアル様に過去の事を尋ねた事がある。 だけれど、その時は酷くベリアル様を不快にさせてしまい、二度とその話はするなと言われてしまった。 ペットから恋人にして頂けた今なら、少しだけベリアル様の事を教えて下さるかもしれない。 ベリアル様から直接、昔のお話を聞きたいと思った。

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