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第1話

パタパタと窓に水が付き、塊となって流れていく。 今日は雨だ。雨の日が好きだ。キスした思い出があるから。あの人を思い出せるから。 少し肌寒い11月の頭、来ていたコートを脱いで、ハンガーにかけた。 部屋にある電話機には留守番機能が付いている。 赤いランプが点滅していた。 赤いランプのときはいつも願う。あの人でありますように。 ボタンを押すと、聞きなれない声がメッセージを喋った。  「ひさしぶりー、覚えてる?大学の同期の皆川だよっ!。電話番号変わってなくてよかった。ゼミの同窓会します!これ聞いたら、折り返し電話してね~。」 同窓会か…。仕事ばかりで最近友達と喋っていない気がする。 参加してみても良いかもしれない。一筋の希望を探すように、僕は電話機の記録している番号を押して折り返した。 プルルルル・・・ 『もしもーし?』 「あ、もしもし?皆川?僕、矢田だよ。電話くれたよね、元気?ゼミの同窓会有るって?」 『うん!元気元気、そっちはどうよ?相変わらず真面目に仕事してんだろうなぁー。あんまり根つめるとつぶれちゃうぞ!そうそう、それで同窓会ね、今月の最後の土曜日、よく集まってた居酒屋ラッシャイあるじゃん?あそこで集まろうって話になったんだ。来れる?』 「うん、行けると思う。」 『やったぁー。じゃぁ参加に丸つけとくね!携帯の電話番号も教えてよ。携帯は番号変わっちゃったでしょ?』 「うん。080-xxxx-xxxだよ。うん。じゃぁ28日にね。電話くれてありがとうー。」 『そうそう、大下先輩も来るよ!なかよかったよね?』 「へ、へぇ!!そうなの、楽しみだね。」 僕はガッツポーズをして、電話を切った。 先輩が来る。やっと会えるんだ。

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