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第7話

押しつけた先から何度目かの欲望を放つと、ようやく頭が冷えてきた。 熱を孕みじゅくじゅくに蕩けた後孔から男根を引き抜くと、凄まじい破裂音と共に中から白濁が溢れてくる。 頭に血が上っていたせいか、最後の方はアオキの表情を伺う余裕もなかった。 バックから無茶苦茶に突かれていたアオキはうつ伏せになったまま、ピクリとも動かない。 無理な体位で責め続けてしまった事を今更になって思い返す。 やり過ぎた。 慌てて身体を拭うと、キッチンへ向かいコップに水を注いで戻ってきた。 ぐったりとしたアオキの身体を起こし、口移しで水を飲ませると伏せていた瞼がピクリと動く。 ゆっくりと瞼が持ち上がり、艶のある黒い瞳がこちらを捉えたのを確認すると少しホッとした。 「気がついたか」 「ふ…ぁっ…すみません…おれ…」 喘ぎ過ぎたのか、その声はすっかりと枯れてしまっている。 「悪かった…つい…やり過ぎた」 謝る紅鳶に、アオキは首を横に振ると小さく笑った。 「謝らないでください。その…そもそも変な事言い出した俺が悪いんです。大事にされてるってわかってたのに…変に不安になったりして…」 「…アオキ」 「でも、紅鳶様がまだ俺に飽きてないってわかって嬉しかったです、とても…」 はにかみながら微笑むアオキに、胸が熱くなった。 いや、苦しくて息ができないと言った方が正解かもしれない。 結ばれる前の息苦しさとはまた違うこの苦しさを何と表現していいかわからないが、例えるならそう…「溢れてくる幸せの波に押し潰されそう」だ。 こんなにも強く、愛していると想えるのはきっと後にも先にもアオキしかいない。 自分より幾分も華奢な身体を引き寄せると強く抱きしめた。 「飽きるわけないだろう…飽きるわけ、ない」 いつもの饒舌な愛の言葉もうまく出てこない。 アオキの前では元一番手のテクニックなんて無意味だ。 それでも例えどんなにかっこ悪いところを見せてもきっとアオキはその全てで受け止めてくれるのだろう。 真っ直ぐ変わらない愛で… 潤んだ瞳と熱い視線を絡ませる。 唇を重ねると、すぐに舌をしのばせねっとりと絡ませた。 「んんっ…」 濃密な口づけは呼び水となって再び熱を呼び起こしていく。 甘い雰囲気に流されてしまうすんでのところでハッと我に返った。 ダメだ。 これ以上は本気でアオキの身体をおかしくしてしまう。 チラつく誘惑に無理矢理蓋をするように、アオキの身体を強引に引き剥がした。 「はぁ…紅鳶さま…っ」 既に火が付いてしまったのか、アオキは蕩けた眼差しでしきりに強請ってくる。 思わず目を逸らすと、早口で捲し立てた。 「ダメだもう休め。これ以上はお前に負担がかかる」 しかし、アオキは諦めるどころか紅鳶の中途半端に着崩れたスーツを脱がし始める。 「アオキ…ダメだ」 口では否定するもののシャツを脱がされ、汗ばんだ胸元を意味深な手つきで撫でられると、無意識に下腹部に力が入ってしまう。 「壊れてもいい…そう言ったじゃないですか…」 掠れた声がいつも以上に妖艶に響く。 もしもこれが般若の受け売りなら由々しき事態だ。 これ以上アオキに変な事を吹き込むな。 今度会ったら強く言及しなければ。 「ダメ、ですか?」 再びあの子犬のような潤んだ目で見つめられて、紅鳶の理性は呆気なく崩されてしまった。 もとより理性なんてグラグラして不安定なものだったのだが… やれやれと溜め息を吐くと、汗で張り付いたアオキの髪を搔き上げる。 「降参だ」 白旗を上げた紅鳶は、アオキに導かれるままシーツに身を沈めたのだった。 end.

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