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第20話*最後の願い*

「どうした濡れ鼠だな。誰かに温めてもらえたか」 「お願いです・・どうか今夜俺を喰ってください」  精一杯喉から出た言葉だった。 「はっはっはっ。皆に捨てられたか。贄嫁とはそういうものだ」  そういって狐は大きい腕で俺を抱きしめた。 『え?』 「お館様、お召し物が」 「構わん。キヨを呼べ。トキワがずいぶん冷えている」

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