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第21話*最後の贄嫁の務め*

「ったく、どうしたんだい。泥だらけで体も冷えて。ほら、ちゃんと肩までつかりな」  キヨは相変わらずの口調だが肩までつかっても 俺の体は全然温まらなかった。広間に入ると膳があった。またいい匂いのする白湯。広間にやってきたシマが 「お召し上がりましたら、ご寝所のほうへどうぞ」 「はい。わかりました」  冷たい雨、体の温まらなかった風呂、温かい白湯。体の力が抜けていく。 そして俺は立ち上がって歩き出す。居場所のない俺の最後の選択。指をつき深々と頭を下げる。 「お館様、トキワでございます。ただいま参りました」 「くっくっくっ。肝が据わったか、口調まで変わったな。トキワ、こっちへ来い」  言われるがままに寝所に入る。狐は胡坐をかいて座っており、 向かい合わせになるよう腰を下ろした。 「トキワ、膝を立てろ」 「・・はい」  膝を立てるとトキワの目線が若干下になる。 「口吸いをしてみろ」 「あ、は・・はい」  静かに唇を合わせると、グッと舌をねじ込められた。トキワのほうが頭の位置が高いので腕を首に巻くというよりは、狐の長い髪の毛をなでるような形になった。 狐はトキワの頭をつかみ唇から離さないようトキワの舌にむさぼりついた。 「ん・・あ・・」トキワから熱い息が漏れる。  狐はトキワの寝巻の紐を緩めていった。

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