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第44話*トキワとの別れ*②

一体何日経ったのだろう。 「ん・・お・おやかたさま?」 「トキワ!トキワ!俺が判るか?」 小さくうなずく。 「ここはおやしき?かあさんの家は?」 力ない声で俺が尋ねる。狐が諭すように話す。 「トキワ、お前は贄嫁として来ただろう?お前の前の奴を僧侶にさせたことも言っただろう?」 「だからこれはいつか、現実として起こりうるはずだと考えたことはなかったか?」 「うっ・・うっ・・か、母さん。母さん。かあさーんー!!」 狐が抱きしめる。 「泣くなトキワ。これは現実だ。もう下には誰もいない。受け止めろ」 また叫びだしそうだった俺を狐はすぐに意識を飛ばし、そっと布団に寝かしつけた。

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