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第43話*トキワとの別れ*①

俺はほとんど意識がなかった。 うつろな目をして何も話さず、お館様の胡坐の中で赤子のように着物の端をつかみ、 薬湯を飲まされていたようだ。お館様は俺が何か反応をずっと見守っていたらしい。 一体どれくらいの時間が経ったのだろう・・。 「あま・・い」 「どうしたトキワ!」 「あまいの・・」 「シマ、果実水を急げ!」 果実水を口にした俺はまたお館様の胸の中で目を閉じる。 そんな日々だけが続く・・。

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