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第93話*そして永遠に*

小高い丘の上に天我が腰を下ろしている。 心なしか髪の艶が無くなっていた。そして天我は少し盛られている土に話しかける。 「すみれ、もうすぐお前の所に行かれる。体がそう教えてくれている」 「俺の人生のほんの数百年だが、こんなに満たされた時間はなかった」 「すみれ。お前を愛して愛されてなんと素晴らしい日々だったか。 目を閉じるといつでも美しいお前がいる」  天我は盛り土の横に寄り添った。 まわりは一面すみれの花が敷き詰められている。 「そうだすみれ、シマはまだいるぞ。天狐を上回る妖だな、きっとあいつは」  笑いながら話す。 「だから俺をすみれの横に永遠に一緒にしてくれるだろう。俺は思う。 俺たちはこの世で一番愛し合い幸せな夫婦だったと」 「すみれ。きっとお前もそう思ってくれているよな」  さあっと風が吹き、すみれの花が一斉に揺れる。 満足そうな顔をして天我はそっと目を閉じる。

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