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大人な先輩

北嶋先輩は、僕がしまったという顔に気づいてくれたらしくて頭を優しくポンポンとして笑いかけてくれた。 なっ・・・なんだ? 修みたいな? イヤ、修とは違うこの完璧に整った顔にされたら女の子じゃなくても惚れてしまいそうだ。 「あの・・・。」 「ごめんね。なんか可愛くて・・・でも男だから可愛いって言われるのイヤだよな?」 「えっと・・・。一応、男ですから・・・すみません。」 北嶋先輩と話してると何だか僕が女の子になった気がしてくる。 そう考えると顔が熱くなってくる。 「友達と一緒に居るなら今日は諦めるよ。でも良かったらメールアドレスとか教えて欲しいかな?」 「僕のですか?」 「ダメかな?」 こんなカッコイイ人に言われて断る奴は居ないだろう? 「いいですよ。是非お願いします。」 思わず頭を下げてしまったら北嶋先輩は優しく頭を撫でてくれる。 さっきから北嶋先輩は僕の心臓を破壊しようとしているのでしょうか? 「あっ・・・あの。」 「ごめんね。なんか触りたくなるんだよ。」 「そうなんですか?」 「嫌だったかな?」 僕は手にした携帯を胸の辺りで両手で持ちギュッと握りしめて首を左右にブンブンと振った。 「ありがとう。本当に可愛いよ。聖輝君。」 「あっ・・・ふぁい。」 名前・・・下でよば・・・呼ばれた。 変な返事になったし・・・恥ずかし過ぎる。 それから僕はドキドキが止まらなくて震える手で北嶋先輩とアドレス交換をした。 ヤバイ。 北嶋先輩の笑顔がカッコイイ。 「何してんの?」 僕の背後から苛立ち混じりの低い声が聞こえてきたかと思うと腕を引っ張られた。 一瞬何が起きたか分からなかったが声の持ち主は分かっていた。 「はなっ・・せ!蒼大。」 「はぁ?聖輝は何してんの?浮気?」 はっ? コイツ頭をどっかでぶつけて来たか? 「浮気?」 北嶋先輩が驚いた顔をしさっき迄の優しい笑顔は無くなっていた。 「蒼大、浮気ってなんだよ。僕誰とも付き合ってないし腕離せ。」 「ふぅ〜ん。聖輝ボケ。ソイツ誰?」 蒼大は掴んでいた腕を乱暴に離すと北嶋先輩を睨みながら聞いてきた。 「初めまして、2年の北嶋駿。」 「見たこと無いと思ったら先輩かぁ〜。」 いい加減にしろよ。 何だって北嶋先輩に噛みついてるんだよ。 「聖輝君。お友達が来たみたいだからコレで失礼するよ。またね。」 うわぁ〜。 なんて爽やかに笑うんだろう北嶋先輩。 蒼大なんかとえらい違いだよ北嶋先輩は大人だ。 僕は北嶋先輩に手を振って見送った。

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