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覚えてるよ。
「俺、まだ夢みたいに思ってる。嬉しくて今日寝れるかな?」
「夢じゃないし、僕も寝れるかな?」
「聖輝は、痛みで寝れなさそうだな。」
「あははっ、言えてる。思いっきり転んで恥ずかしすぎるよな。」
手当をしてもらって時計を見ると午後7時前だったから落ち着いたのなら帰ろうかってなった。
いざ立ち上がって歩こうとしたら膝の傷が痛くて思うように速く歩けない。
そんな僕のペースに合わせて歩いてくれている蒼大。
つくづく今まで僕は蒼大の何を見てきたのかと思い知らされる。
考えてみれば口は悪かったがいつも態度とか接し方は優しかったのだと気付いた。
駅に着いてからもなんだか別れるのが寂しく思えて僕はワザとゆっくりと歩いていた。
明日もこれから先もずっと蒼大と一緒に居れるのに何故不安になるんだろ?
「あのさ、聖輝って甘いもん好きだよな?」
「あっ、うん。」
「今度の土曜日に、紅茶のシフォンケーキ作ろうと思うだけど食べにくるか?」
紅茶のシフォンケーキ。
前に僕が好きだって話してたの覚えてくれていたんだ。
「うん。食べたい。」
「じゃあ、明日学校で土曜日の事とか決めよう。」
「うん。ありがとう蒼大。」
「また明日な。気をつけて帰れよ。」
「うん。また明日ね。蒼大。」
駅構内の柱の後ろで蒼大が僕を引き寄せてチュッと軽くキスをして笑った。
僕も照れくさくてけど嬉しくて、はにかんだ笑顔になった。
蒼大。
僕は今でも覚えてるよ。
蒼大の唇の温もりも抱きしめられて身体中が熱くなった事も全部覚えているよ。
僕は蒼大だけ・・・・・・。
ずっと一緒に居れたら良かったな。
ずっと蒼大の隣で笑って居たかった。
ごめんね蒼大。
こんな僕を好きになってくれてありがとう。
愛しているよ蒼大。
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