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蒼大が駅に着きそうな時間帯に僕は改札口で待っていた。 家を出る時に大地さんは道に迷うなよって言われて思わず大笑いをしてしまった。 家から駅は近いのにどうやったら道に迷うのか不思議だよ。 大地さんのあまりの発言に美央さんが我慢の限界になったらしくてお説教されいました。 また思い出したら笑いそうになって必死に下を向いて笑いを堪えていた。 「聖輝、何笑ってんだ?」 僕の頭をクシャクシャとしてくれるこの手は僕は知っている。 「蒼大!」 僕はあまりの嬉しさに大きな声を出してしまい通行の人からジロジロと見られてしまった。 恥ずかしい。 「声が大き過ぎだよ聖輝。でも元気そうで安心した。」 そう言って蒼大は笑ってくれた。 僕も蒼大につられて笑っていた。 「蒼大も元気みたいで僕も安心したよ。新幹線の中は疲れなかった?ちゃんと乗り換えできた?」 「1時間半くらいだから平気だよ。乗り換えできたから今いるんだけどな聖輝。」 「そっか、そうだよね。じゃあ家まで案内するね。」 これじゃあ僕も大地さんと変わらないかもしれないよ。 蒼大と久しぶりに会うけど少し背が伸びたのかな? なんだかカッコ良く見えてきてドキドキしてしまう。 「蒼大、背伸びた?」 「えっと・・・2cmくらいかな?分かるのか聖輝。」 並んで歩いていた蒼大が僕の顔を覗き込んできた。 か・・・顔が・・・・近いよ。 「え・・・・あの・・・カッコいいなと・・・・・・。」 うわっ、僕なんて事を言ってるんだよ。 顔から火が出そうなくらいに一瞬にして熱くなった。 「あ・・・ありがとう聖輝。なんか照れるな・・・けどすごく嬉しいよ。」 蒼大はそう言って少し顔を赤くしながら笑っていた。 何度も願ったんだ。 叶わないと思いながらまた蒼大と笑って話ができるようにってずっと願っていたんだ。 夢が叶って僕は本当に幸せです。

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