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嘘だよね・・・。
僕達が病院について受付で大地さんと美央さんの名前を言って病室はどこかと尋ねた。
告げられた場所は・・・・・。
僕の聞き間違い?
嘘だよね。
「パパとママは?」
蒼大の肩に額をつけた大輝が小さい声で聞いている。
「パパとママは・・・。」
蒼大も大輝にどう話していいか迷っている。
まだ確認をした訳じゃないし何かの手違いとかの可能性もある。
確認を出来るのは僕しか居ないんだ。
「ご家族の方ですか?」
「僕は同居人で6歳の息子さんが居ます。お2人はご両親とか親戚とか居ないんです。僕ではダメですか?」
「6歳の息子の代わりにお願いします。此方です。警察の方が後でお話をされたいと言われてますので宜しいですか?」
「はい。」
案内されて中に入る。
恐る恐るベッドへ近づいていき掛けられた2つの布を取り顔を確認して僕はその場に座り込んでしまった。
「大丈夫ですか?」
案内してくれた看護師さんが僕に言った。
けれど僕は返事が出来ずに座り込んだままで目から涙が床にポタポタと零れ落ちていた。
嘘だと思いたかった。
けれど目の前のベッドに横たわっているのは間違いなく大地さんと美央さんだった。
「だ・・・いち・・・さんと・・・みお・・・さんです。」
「えっ?」
僕の声が小さくて聞き取りにくかったのか看護師さんがもう一度聞き直してきた。
「大地さんと美央さんです!」
看護師さんは悪く無いのは分かっている。
明らかに八つ当たりでけれどこの怒りにも似た感情をどこにブツけたら良いの?
それを側にいた看護師さんにブツけてしまった。
「すみません。外で待たれている方にお話をしてきて良いでしょうか?」
僕は何も言わずにコクリとだけ頷いた。
看護師さんは部屋から出て行って外で待っている蒼大に話をしている。
大輝は悠真達が病院の中にあるカフェで見ていてくれている。
悠真達にも説明をしないといけない。
大輝に僕は言えるんだろうか?
パパとママはお空のお星様になったんだよって伝えれるんだろうか?
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