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真っ黒

「いぶちゃん。まっくろだよ。」 大輝は目の前にあるお店を指差して僕の顔を見上げてくる。 同じ様に真っ黒だねと言えばいいの? どうして真っ黒になったの? どうしてお店が・・・・・。 目に涙が溜まりだし頭の中に浮かぶ言葉はどうしてという事だけだった。 「泣かないでいぶちゃん。」 僕の手を小さな手が握りしめる。 そうだ僕がこんなん風だと大輝が不安になるよ。 「泣かないから大丈夫だよ。」 「うん。いぶちゃんといっしょに、いいこする。」 大輝は大地さんと美央さんが言った言いつけを守ろうとしているのか大人しくしている。 もし具合が悪くて大人しくしているとしたら? 早く病院に連れて行かないと大輝がまた胸を痛がるかもしれない。 僕がしゃがみ込み大輝を抱きしめていると頭の上から蒼大の声が聞こえてくる。 「聖輝、すぐに病院へ行くぞ!」 病院? 大輝の? 「おいで大輝。」 蒼大の顔付きが怖くて聞きたいけど僕は言葉を飲み込んだ。 考えたくない。 言葉に出したら今思ってる事が本当になるかもしれないからそんな事が起こって欲しくないから僕は絶対に言わないよ。 蒼大は大輝を抱き上げると悠真達にも病院に行く話をしに行った。 悠真は病院の名前と住所を聞いて場所が分かるらしく歩くと30分かかると言った。 急いでいるから僕達はタクシーを拾いに大通りへと歩いて行きタクシー2台がすぐに止まってくれて急いで病院へと向かった。

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