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遅いね

大輝が夏休みに入り昼間は桜子さんにお願いをして大輝を預かって貰っている。 預かって貰ってとかおかしいよね。 血は繋がってないけど親子なんだもんね。 「今日ね。海君と桜お母さんとでお買い物行ったんだよ。」 「そうなんだ。良かったね。」 「うん。ソフトクリームを海君と食べたんだ。美味しかったから今度、いぶちゃんも食べようよ。」 「うん。」 大輝はキッチンの横にあるテーブルに座りながら僕に話しかけている。 カウンターになっているから料理をしながらでも大輝の様子がわかる。 大輝がさっきから言ってるのは平岡海(ひらおか かい)君と言って大輝の大親友です。 海君のご両親は共働きで僕より遅くまでお母さんが帰らないから話をして昼間は桜子さんに大輝と海君を預かって貰っていた。 「あっ、いぶちゃんの携帯鳴ってるよ。そうちゃんからみたい。」 「大輝、携帯かしてくれる?」 「はい。」 僕は携帯の通話を押して出ると蒼大が受話向こうで申し訳なさそうに話をしてきた。 最近、いつもこの時間に必ず電話を掛けてくる。 内容はいつも同じだった。 「また、そうちゃん遅いの?」 「うん。お仕事で遅くなるんだよ。寂しいよね大輝。」 「寂しいけどいぶちゃんがいるから僕は大丈夫だよ。」 ここ1カ月ずっと残業とかで帰りも日付けが変わる頃に帰宅してくる。 少し気になる事があるんだ。 シャワーを浴びる前に部屋に着替えを取りに来るんだけど微かに女性物の香水の香りがするんだ。 会社には女性が居るからと言い聞かせてるが蒼大に香りがうつるくらい近くにいるって事なのかな? 不安になる。 けど今それを顔に出せば大輝が心配するから僕は無理やり笑顔を作っていた。

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