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来ないよ
「そうちゃんは?」
「蒼大は来ないよ。」
「どうして?そうちゃんはこないの?」
僕と大輝は新幹線のグリーン車に座っている。
本当は蒼大も来るはずだったんだけど仕事が入ったから行けなくなったと昼間に携帯に連絡が入った。
通話中に蒼大の近くで甘えた感じの女性の声が聞こえてくる。
側に誰かいるかと聞くと自分1人だと返事をした蒼大に腹が立って僕は短い返事だけすると携帯の通話を切った。
それから僕は1日早かったけれど荷物をまとめて大輝を連れて新幹線に乗ったのだった。
「お仕事だから来れないんだよ。向こう着いたら悠真とか居るから平気だろ?」
「う・・・うん。」
大輝は泣きそうな顔をしながら返事をして窓の外を見ると話しかけても窓の外を見たまま返事をしている。
僕は蒼大との事を大輝に八つ当たりをしてしまっている。
ごめんな大輝。
僕はぼんやりと手に持っていた雑誌をパラパラとめくりながら心の中で大輝に謝っていた。
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