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混乱

ゆっくりと重たい瞼が開いていくと僕の手を誰かが握りしめているのが分かった。 誰? 僕はその手を少しだけ力を入れて握り返すと慌てて声を掛けてくるけどまだ視界もボヤけた感じで応えたいが声が上手く出ない。 「聖輝?よかった。」 「看護師さん呼ぶよ。」 「いぶちゃん。お目目覚ましたの?」 「良かったな大ちゃん。」 なんか沢山の人の声が聞こえてくるけどまだねむたいやぁ〜。 バタバタと足音もたくさん聞こえてくるけどココは何処なんだろう? 薬品の匂いがする。 僕は何故ココで寝てるんだろう? 「黒岡さん?分かりますか?」 白い服・・・白衣。 「病院?」 「黒岡さん。気分はどうですか?」 「大丈夫です。」 白衣の先生と話をしていると少しずつだけどボヤけていた視界も意識もハッキリしてくる。 僕はどうしてここに居るんだ? 「イタッ。」 頭に激痛が走り僕は頭を押さえようとして何か巻かれているのに気が付いた。 「黒岡さん、大丈夫ですか?頭痛いですか?吐き気は?」 「少しだけズキンとしただけで大丈夫です。」 「吐き気とかあるなら言ってください。頭を強く打たれてましたからね。検査では異常は無かったので安心してください。」 「分かりました。僕はどうしたんですか?」 「信号無視をした車に跳ねられたんですよ。覚えてませんか?」 信号無視をした車に跳ねられた? 思い出せない。 「すみません。覚えて無いです。」 「意識をすぐ失われたみたいなので覚えてないのも無理はないですね。」 跳ねられたら普通は分かりそうなんだけど僕は分からなかったんだ。 それなら覚えて無くても仕方ないよね。

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