先生は、周りの皆んなに何かあったらまた呼んでくださいねと言って病室を出て行った。 「いぶちゃん。大丈夫？僕はお熱下がったよ。」 「いぶちゃん？」 僕の側に小学生くらいの男の子が居て僕を見ていぶちゃんと呼んでくる。 そして男の子の後ろには20代後半と思われるイケメンな男性が立っていた。 「ごめんな聖輝。大ちゃん具合悪かったのに連れてきて、無事で良かった。」 「本当だよ。焦せらせんなよ聖輝。俺なんて大地さんや美央さんの時を思い出して聞いた時は呆然としたんだからな！」 「治樹は、泣き虫だから仕方ない。」 「煩いんだよ悠真。蒼大も聖輝を放ったらかしにして何してたんだよ。」 何？ 僕はこの人達を知らない。 でも、この人達は僕を知っている。 「あの・・・すみません。誰ですか？」 僕の言葉に周りにいた皆んなの動きが止まった。 あれ？ 僕は何か変な事言ったのかな？ けど男の子の後ろに居る男性があの蒼大と名前が同じだなんて嫌な感じだよ。 思い出しただけでもムカついてくる。 アイツ、見舞いに来ないよな？ 皆んなが来るって言ったら見舞いに来そうだよなぁ〜。 「聖輝？まだ怒ってるのか？」 「怒ってる？」 男性は僕の事を知ってるみたいだけど僕は知らないからあまり聖輝とか呼び捨てにされたくないんだよ。 「いぶちゃん。そうちゃんは心配して泣いてたよ。すごくすごくお胸が痛かったんだよ。」 「そうちゃん？誰かな？」 「いぶちゃん、そうちゃんだよ。」 男の子は後ろに居る男性を指差して一生懸命に教えてくれているが僕には分からなかった。 「ごめんね。僕には分からない。」 「いぶちゃん、どうしちゃったの？」 僕の寝ている横で男の子は泣き出してしまった。 泣かせるつもりは無いんだけど僕には本当に分からないんだよ。 男の子の頭を撫でようと手を動かそうとしたらギプスで固定されていた。 よく見たら右腕と右足は骨折しているのかギプスで固定されている。 凄い事故だったのかな？ 手足の状態を見たらなんだか痛みが出てきたかもしれない。 痛くて寝れないとかありそうだよなぁ〜。 最悪だ。