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行方不明 side大輝

いぶちゃんをお迎えに行ったそうちゃんは1人でお家に帰って来ました。 1人でお家に帰って来たのを知ったのは朝起きてからです。 僕を起こしに来たのは桜お母さんでした。 いつもはいぶちゃんが起こしに来てくれて朝ご飯の良い匂いがするけれど今日は良い匂いがなかったので桜お母さんに聞いてみました。 「桜お母さん、いぶちゃんは?」 「聖輝君ね。昨日から帰ってないのよ。だから今日はお母さんと一緒にご飯食べましょうね。」 「分かったよ桜お母さん。いぶちゃんが早く見つかると良いね。」 「えっ?」 あっ・・・僕また変な事を言っちゃったかも知れない。 桜お母さんには僕の秘密をお話ししていない事を思い出したのです。 昨日はスーパーの駐車場にいるお爺ちゃんが僕の所に来ていぶちゃんが大変だと騒がしくしていた。 スーパーのお爺ちゃんは僕にしか見えてないからお家に勝手に入っても大丈夫なんだよ。 お爺ちゃんはたまに僕についてくるから僕のお家は知っていたんだ。 いぶちゃんが誰かに連れ去られたとか騒ぐからそうちゃんにお電話して聞いてみようとしたんだ。 でもねそうちゃんにお電話したらいつもと声が違っていたんだよ。 いぶちゃんが車に跳ねられた時みたいな感じの声だった。 だから僕は聞けなくてでもお爺ちゃんが話してくれた事は本当なんだと分かった。 けれどいぶちゃんがどこに連れていかれたとかはお爺ちゃんも分からないみたい。 いぶちゃん・・・僕良い子にするから早く帰って来てよ。

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