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静かな病室
さっきまで賑やかだった病室が嘘のように静まり返っている。
夜は1人になるのが怖くてたまらない。
「黒岡さん。寝る前のお薬お持ちしました。」
「ありがとうございます。」
消灯時間に電気を消されてしまう。
暗闇が怖くて部屋の明かりをつけていないと怖くて怖くて仕方がない。
蒼大には知られたくなくて病院の人達には身内にも僕の病状は秘密にしてもらっている。
「大輝君。可愛いですね。黒岡さんの事が大好きだって廊下で騒いでましたよ。まだ一緒に居るんだって宮垣さんが言い聞かせてましたけど良いお兄さんですね。」
「はい。本当に大輝にも蒼大にも助けられてばかりです。」
「甘えても良いと思いますよ。」
看護師さんは優しく笑いかけてくれた。
甘えてばかりだけれど良いのかな?
「黒岡さんは頑張り屋さんだから少しくらい甘えても良いんじゃないかなって思ってしまったんです。すみません。余計な事を言いました。また眠られた頃に来ますね。」
「あの!ありがとうございます。少し気持ちが楽になりました。」
「ゆっくり寝て下さいね。失礼します。」
看護師さんは微笑むと部屋から出て行った。
僕は看護師さんから貰った睡眠薬を飲むとベッドに横になり今までの事を考えていた。
さっきは看護師さんに気持ちが楽になったと言ったけれどそれは嘘で本当はこれ以上は迷惑かけれないとか思っていた。
あの日から灯台で命を投げ出そうとした日から僕は周りに甘えて生きて来たんだ。
僕は頑張り屋さんじゃないよ。
ただの弱虫で・・・・。
考えているうちに睡眠薬が効いて来て僕は深い眠りについていた。
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