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おすそわけ
花瓶に花を生けて戻って来た修の手には紙袋をぶら下げて花瓶をサイドテーブルに置くと苦笑いをしながら紙袋の中身を僕に見せて来た。
「うわっ!こんなたくさんのお菓子どうしたの?」
「それが花瓶に花を生けてたらなんか見舞いに来てる人とか色んな人に話しかけられてお菓子やらくれたんだ。最初は断ってたんだけどなんか断りきれなくて貰っていくうちにこんなに沢山になった。大ちゃんにあげてくれる。」
「いいの?修が貰ったんだよ。ダメじゃない?」
「大丈夫。俺が聖輝の部屋の見舞いだって知ってたらしくて俺が食べないなら大ちゃんにあげてって言われたんだ。」
なんか前に蒼大が大輝と病院の廊下とか歩くと入院患者さんや見舞いに来てる人達にやたら話しかけられて帰る頃にはビニール袋にお菓子がパンパンに詰められてるって言っていた。
まさに今のこの状態だよね。
「ありがとう修。大輝が喜ぶよ。」
「聖輝も早く元気になって美味しそうにケーキを食べる姿を見せてくれよ。」
「どうしてケーキ食べる姿なんだよ。作る姿とかにして欲しいよ。」
僕が頬を膨らませて拗ねていると修は優しく頭をポンポンとしてくれる。
修の頭をポンポンとするのは高校生の時からで僕にだけしていた記憶がある。
他の友達にはしなかった。
最近になって圭にしているのを見るけれど本当に昔は僕にだけだった。
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