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もうすぐじんぐるべぇ〜だよ

とある日曜日にリビングで大輝が自分よりも大きな木の下で楽しそうに歌いながら飾り付けをしていた。 来週は大輝が待ちに待ったクリスマス。 「じぐるべぇ〜じんぐるべぇ〜!ふんふんふんふうぅ〜!クリスマスへいっ!!!!!!」 歌を覚えてないのかフンフンに歌詞が変えられてるしジングルベルとも言えてない。 でもこれは大輝に教えてやるべきなんだろうか? 「いぶちゃん!いぶちゃん!それ取ってよ。」 「あっ、うん。これかな?」 「ちがぁ〜う。そっちのお星様がついたやつだよ。」 「ごめん。はい大輝。」 「ありがとう!いぶちゃん。」 またキラキラした目で僕を見てくる大輝。 僕は思わず大輝を抱き締めてしまったけれど大輝は何も言わずに黙ってる。 前は『くるしいよ。』とか『どうしたの?』とか聞いて来たのに僕が退院して家に帰って来てからは急に抱き締めても何も言わないで黙って静かに僕が抱き締めている腕を緩めるまでジッとしている。 大輝なりに僕の事を気遣ってくれているのだろうか? 腕の力を緩めると僕を見つめて心配そうにしている。 「大輝、早く飾り付けしちゃおう!」 「うん。じゃあ、いぶちゃんもあの大きなお星様を一番上につけてよ。」 「一番上につける星はね。こうしたら大輝がつけれるだろ?」 僕は大輝の脇に手を入れ抱き上げると一番上の星がつけれる高さまで持ち上げた。 大輝を持ち上げれるまでに僕の体力は回復している。

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