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大切な人がいます
待つ間に僕と蒼大の話をしていたんだけれど北嶋先輩の高校生の時に初恋で忘れられない人の話になり出した。
「私、その人に似てるって言われた事があるのよ。」
「・・・・・。」
奥さんの言葉に周りが固まった。
淳平さんが肘でグリグリと押してくるから言いたい事はなんとなく分かるけれどそれは僕とは限らない。
「似てないよ。沙也加は沙也加だ。前にも説明をしたしこの場で話す事じゃないだろ?」
「聖輝君なら何かご存知じゃないかしら?」
さっきまでの優しい雰囲気とは違い冷たい目で僕を見ていて居心地が悪くてどう言ったら良いのか一瞬返事を躊躇った。
「僕は、北嶋先輩と知り合って直ぐに大輝のご両親と住み始めたので好きな人が居たなんて初めて聞きましたよ。」
「そうなのね。駿さんは初恋の話になると教えてくださらないのよ。」
「そっ・・そうなんですか?でも今はお幸せそうなんで羨ましいですよ。」
「聖輝君は?お相手いらっしゃらないの?」
「大切な人は居ます。」
とっても大切な人。
ずっと僕だけを見て居てくれていつも暖かく包み込んでくれる。
だから僕も蒼大を支えれたらと思うけれどまだ弱いままの僕には無理かもしれない。
強くなりたい。
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