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お声が Side大輝
いぶちゃんの側でしばらく泣いていると冷たい手が僕の頬に伝う涙を拭っていた。
「うっ・・・いぶ・・いぶちゃん?」
僕を優しく抱きしめてくれるいぶちゃんはいつものいぶちゃんだった。
「いぶちゃん!いぶちゃん。僕の事わかるの?」
「・・・・・。」
口をパクパクとして何か言っているみたいだけれど聞き取れなかった。
『おい、チビ。いぶちゃんは声が出ないんじゃないか?聞いてみな。』
僕は冷たくなったいぶちゃんの手を握るとタツ爺ちゃんが言った通りに聞いてみた。
「いぶちゃん、お声でないの?」
いぶちゃんの目が大きく開いて僕が握っていない手で喉に触れ一生懸命に声を出そうとしている。
涙を流しながらいぶちゃんはお声を出そうとしているが上手くお声が出ない。
「いぶちゃん。」
僕がいぶちゃんを呼ぶと思いっきり僕を抱きしめて身体を震わせながら泣いていた。
早くそうちゃんに知らせたい。
けれどまたそうちゃんが来ていぶちゃんが怖がったら困る。
どうしたらいいの?
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